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年金改正法案 [年金制度]

今国会に提出されている年金改正法案の骨子


〇短時間労働者の健保・厚生年金適用を50人以上規模の中小企業まで拡大

〇60-64歳の在職老齢年金の基準額を引き上げ。65歳以上の改正は見送り

〇受給開始年齢の選択肢が60歳ー75歳に拡大、繰り上げ減額率が小さくなる


被保険者の適用拡大は保険財政のベースを安定化させることが最大の課題で、国民年金1号加入者や第3号被保険者を取り込むのが狙い。短時間労働者については少ない収入から保険料が徴収されるが、国民年金保険料を納付した額と同程度の額であれば、事業者側も同じ金額を支払う事になるので、被保険者の将来の給付は増加する。事業者側にとっては保険料の負担は大きい。


60歳から65歳までの在職老齢年金の基準額を現行28万円から47万円に変更することで、基準額未満であれば減額されない年金額と給与が得られるので、収入的にだいぶ楽になりそうだ。しかし、年金の減額がない階層の給与を事業者側で下げるかもしれない。60歳から65歳までの在職老齢年金に該当するのは特別支給の老齢厚生年金を受給できる昭和36年4月1日生まれ(男子)以前の人と昭和41年4月1日生まれ(女子)以前の人が対象(原則)。


受給開始年齢の選択肢が60歳ー75歳に拡大というのは繰り下げ受給が75歳に拡大するということ。年金の給付設計は支給開始から10年で本人の掛け金分と同額程度を支給するようになっている。現行法だと65歳支給なので75歳までは自分でかけた分(事業所分も含めて)の受給。75歳を超えた部分が制度(国)が支給する金額となる。平均余命が伸びてきて100歳などと言われれば国が25年支給しなければならなくなる。そこで繰り下げで割り増し支給するのを75歳にしようとする。すると単純に85歳までは自分出かけた分(事業所分を含めて)残り15年が国の負担となる。目安を平均寿命にしてもいい。平成28年度の平均寿命は男子80.98歳、女子が87.14歳だから、国がいかに負担したくないかわかる。


年金のそもそも論だが、老齢年金は歳をとって働けなくなり収入が減るからそれを保険事故として考え給付をしようとしたのが始まり。昭和60年に法律改正があって全ての年金を65歳から支給することに統一した。それでも60歳から65歳までは経過措置としてそれまでの60歳支給という厚生年金のルールを残したのが特別支給の老齢厚生年金。昭和60年の改正の時は60歳でも厚生年金が支給されたからさほど問題とならなかったが、経過措置の残りがわずかになって慌てている状態だ。その当時「少子化高齢化社会」という言葉を使っていたが今は「化」の字を使わずに「少子高齢社会」と言っている。


年金制度を安定維持するには合成特殊出生率が3以上必要だ(1世代で3人子供を産み育てる数と同じ意味)。昭和48年で2.14。平成29年で1.43だから年金制度は若者に負担がかかるのは当然だ。子供を産まない社会。子供を産めない社会が今の日本の現状。この日本をどうやって安定させるのかが課題だと思う。


年金制度を見ていると社会の歪がよくわかる。自営業者やフリーランスが増えているのは事実だが、将来を見据えれば多くの人の収入が大きく減少する。今回の新型コロナ騒動で明確になったが弱い立場の人を十分に守り切れない社会保障の現実を考える必要がある。


国民皆年金を維持しつつベーシックインカムといった制度も導入していかなければ社会保障は国民に安心を与えるのが難しくなるのではと危惧している。

国家議員さんらにはそういったことも視野に入れ法律を改正していってもらいたいものだ。



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